株投資をしていると配当金がもらえたり、価格が上昇した株を売って得た利益を確定すると凄く嬉しくなりますし、そのお金を何に使うのかを考えるのもワクワクしますよね 😀
楽しくなる気持ちはとってもよくわかるのですが、投資をしている以上は税金の知識は絶対に必要です!もし得られた利益を何も考えずに使ってしまうと知らぬ間に脱税をしてしまい、犯罪者になっている危険性もあります。
この記事では、特に米国株投資家が注意をしないといけない税金の知識をまとめ、どう対処すれば良いのかを説明します。
結論としては
1. NISA/積立NISA、iDeCoといった制度を使う
2. 特定口座(源泉徴収あり)で口座開設する
3. 確定申告をする
のいずれかの方法をとるのが良く、特に楽したい場合は1番か2番を選択するのが良いです。
投資効率をあげるために特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で投資をしている人は確定申告をしましょう。
米国株投資に関係する税金の整理
どういう利益が課税の対象なの?
まずはざっと税金が関係する利益をまとめてみましょう。対象は次の6つです。
配当金は企業が稼いで得られた利益の一部を頂戴するお金、分配金はETFという複数の株がパッケージ化された商品の運用益からもらえるお金です。ETFについての詳細はこちらの記事で紹介していますが、この項目では株式のETFに限定してます。
国や企業が発行する債券の利息、債券ETFの運用収益の分配金です。債券ETFと株式ETFの分配金は、厳密には違う規則で課税されます。
基本的には株などを売って得られた利益のことです。
資産運用していた家族から財産を相続するとき、株や債券も立派な資産なので、もちろん相続税の対象となります。
日本株投資家にとっては株主優待、国際株投資家にとっては為替差益が注意しないといけないものです。為替差益とは、海外の貨幣と日本円の相対的な価格差を利用して得られる利益です。詳細は後で説明します。
米国などの外国の株・ETF・債券の配当金・分配金・利息を受け取る際には、まずその国で課税され、その後に日本でも課税されます。
基本的に、これらの税金として20.315%が課税され、例外的なものは個別に覚えておくのが良いでしょう。
あるいは、NISA/積立NISA、iDeCoの口座で購入している株に関しては0%です。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
配当金・分配金
配当を受け取ったとき、自身が大口株主かどうかでいくら支払う(源泉徴収する)のか違います。
大口株主:発行済株式の総数等の3%以上に相当する数又は金額の株式等を有する個人
20.42%
内訳:所得税の20%、復興特別所得税の0.42%
20.315%
内訳:所得税の15%、復興特別所得税の0.315%、地方税(住民税)の5%
いずれにしても20%と少しの税金が、受け取った配当金・分配金・利子に対して上記の割合分だけ課税されます。
恐らくこのサイトを見てくださっている方の多くは大口株主には該当しないと思いますので、20.315%の数値を使って実際にどの程度の税金が課税されるのか見てみましょう。
課税額:10,000 × 0.20315 = 2,031.5
手取り:10,000 – 2,031 = 7,969(課税額の小数点以下は切り捨てになるので、2,031.5の0.5円は無視します。)
なお、この所得に関しては確定申告可能です。
利息
利息では、原則として、20.315%(所得税の15%、復興特別所得税の0.315%、地方税の5%)が課税されます。
利息は確定申告できない源泉分離課税となります。
譲渡益・売却益
株を売って得られた利益は譲渡所得とみなされます。
課税額はその利益に対して20.315%(所得税の15%、復興特別所得税の0.315%、地方税の5%)が課税されます。
相続
株も立派な資産なので相続ができます。相続税の計算は少し複雑なので詳細は参考記事をご覧ください。
簡単にまとめると、
1. まずは相続する株式の価格を計算する。上場企業の株であれば証券会社のデータを見るが、非上場の場合は企業規模や配当金額を基に算出する方法がある。
2. 借金や基礎控除額を差し引いた後、被相続人に割り振る。
3. 受け取り金額に応じた控除額を計算する。
4. 受け取り金額の15%から控除額を引く。
5. 全員の【4】の結果を足し合わせた額が相続税となる。
株主優待・為替差益
これらは、雑所得として計算します。雑所得は「収入-経費」です。この額に給与所得などの他の所得と併せて納める金額が決まります。なお、雑所得の年間総額が20万円以下のときは確定申告は不要です。
では、株主優待や為替差益の経費はどのように計算するのでしょうか。
まずは、株主優待は、経費を0円とみなします。
そもそも為替差益とは何かわかりやすく説明しますね。
例えば、手持ち資金が9,000円でドルで買える海外企業の株を買う状況を考えましょう。まず、手持ちの円をドルに両替する必要がありますね。なお、手数料は無視しますね。
9,000円を両替すると、60ドルが手元にあることになります。
9,000円を両替すると、90ドルが手元にあることになります。
日本円の額が同じでもドルに両替するタイミングで所有できるドルの量が違いますよね。1ドルあたりの円が安いときに多くドルに両替しておけば、その後に円が高くなっても、多くの海外企業の株を買えて、配当金を多く貰えたり、株価が高くなればその分だけ資産の増加分も大きくなります。
以上のように、異なる通貨を交換するときに必要な金額は常に変化するので、その価格差を利用して得られる利益のことを為替差益といいます。参考までに、この差で生じた損失は為替差損といいます。
なお、配当金をもらったその日のうちに全額使って株を買うか、円に両替しておけばこの問題は起きません。
為替差益ですが、こちらも経費を0とみなします。
外国での課税
国際株にも投資している人で、配当金を受け取っている人は、その企業がある国の現地でも課税されていることを忘れないようにしてください!
配当金を受け取るながれは、
- 外国で課税され
- その後に日本国内でも課税される(20.315%)
となります。
つまり、一回の配当で二重に課税されることになります。
悲しいですね。
ただし、確定申告をすれば、外国で徴収された額の一部は返礼されます 😀
なお、米国株の場合は、日米租税条約によって、アメリカが10%の源泉徴収をすることになっています。
税金の対策方法
米国株投資に関係する税金について整理できたので、何をすれば脱税にならないのかをまとめましょう。
NISA/積立NISA・iDeCoや特定口座(源泉徴収あり)で自動化する
まず、最も楽な方法を紹介します。それはNISAや積立NISA、iDeCo、特定口座(源泉徴収あり)を利用して株などを買うことです。楽天証券やSBI証券であれば、最初にこの3つの口座を開設するか聞かれるので、とにかく楽したい人は開設しておきましょう。
なぜこれらの口座を使うのが楽なのか、解説しますね。
まず、株を買うときは、預金と同じように、株も口座で管理します。NISA/積立NISAとiDeCoという制度を利用すると、これらの制度専用の口座が用意され、その口座内で得られた配当金や売買で得られた利益は非課税となります。つまり、国の制度を利用して、得られる利益を最初から課税の対象外にしてしまう、ということです。
こんな素晴らしい制度があるなら、これだけで良いじゃん!と思いたいのですが、NISAやiDeCoの口座での購入は制限があります。そこで、考えるのが特定口座(源泉徴収あり)です。この口座は、私達が配当金などの利益を得たときに、証券会社がいくら税金がかかるのかを計算し、その額だけ先に差し引いておいてくれる制度です。差し引かれたお金はその証券会社がお国に納めてくれるので、私達は確定申告をしなくてもきちんと納税していることになります。
ここで紹介した方法は、国や証券会社の制度を利用しましょう、という方法でした。
確定申告で支払う
次の方法は確定申告ですね。毎年2~4月頃に行うやつです。
NISA、積立NISA、iDeCoしか使っていない人や、源泉徴収ありの特定口座で投資してる人はこの内容は関係ありません。
一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で所得を得た人、為替差益を得た人は確定申告で税金を支払えば問題ないです。
確定申告の方法は違う記事で紹介しますね。
まとめ
以上で米国株を投資している人が注意しないといけない税金とその対策方法についてまとめました。
確定申告をする人は、自分に該当するものを早めに整理しておき、配当金の書類をPCにダウンロードして整理しておくことが出来ますし、確定申告が終わる間際に焦って計算しなくて済むようにしましょうね。
sumily(スマイリー)でした!
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